先制の本塁打を放った東洋大姫路の主将・渡辺拓=2025年5月31日午後1時16分、奈良県橿原市のさとやくスタジアム、原晟也撮影

 (31日、春季近畿地区高校野球大会準決勝、東洋大姫路1―0奈良大付)

 東洋大姫路は決勝進出を決めた。だが、主将・渡辺拓雲(たくも)選手(3年)は試合後、苦虫をかみつぶしたような表情を一瞬みせた。

 「チームとして、走塁ミスなどで流れを悪くして、相手投手も打ち崩せなかった」

 この日は、コールド勝ちした1回戦の大阪桐蔭戦とは打って変わって1点を争う投手戦になった。

 試合が動いたのは三回。「誰かが口火を切らないと、打線がつながらない」。打席に立った渡辺拓選手は、2球目の内角低め直球を狙い澄ました。振り切った打球は右翼席へ。公式戦で自身初となる本塁打だった。

 今のチームには悪い流れをひっくり返せる選手がいない――。岡田龍生監督から、そう言われてきたという。

 主将だからこそ、1番打者だからこそ、「自分が流れを作らなければならない」。一回にも先頭で安打を放つなど気を吐いた。

 チームがあげた得点は、自分の本塁打のみ。試合後、「ベルト付近の高さを打つことをチームとして徹底できなかった。勝てたことはよかったが、修正しなければならないことは多い」と反省を口にした。

 自分1人だけが打っても、チームが成長しなければ勝てない、と分かっている。最後の夏はもう目の前だ。

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