沖縄尚学―東洋大姫路 試合に敗れ、アルプススタンド前へ向かう東洋大姫路の選手たち=伊藤進之介撮影

 (第107回全国高校野球選手権大会準々決勝 沖縄尚学2―1東洋大姫路)

 東洋大姫路の3年生は泣き崩れた。1点を追う九回2死満塁。一打サヨナラの場面に、ベンチは総立ちで声をからした。だが、最後は遊ゴロで力尽きた。

 かつて「夏の東洋」と呼ばれた強豪校だ。全国選手権は1977年に優勝するなど、この大会前まで通算20勝11敗を誇った。だが、長く低迷期が続いていた。

 履正社(大阪)の監督として2019年に全国制覇を成し遂げた岡田龍生監督が22年4月、母校の建て直しを図るために就任した。

 岡田監督の求めるものは高かった。野球の技術だけでなく、学校生活での身だしなみや、寮のルールなど細かい点も言及した。

 いまの3年生は下級生から試合に出るメンバーが多かった。そのうちの1人の見村昊成は「毎日、本当に毎日怒られた」。学校からグラウンドへ自転車で向かう時間が苦痛だった。

 「監督が来ているのかどうかばかりを気にしていた」

 岡田監督は言う。「履正社の…

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