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洲本の選手ら=2025年7月15日午後0時45分、ウインク、原晟也撮影
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 (15日、第107回全国高校野球選手権兵庫大会3回戦 東洋大姫路7―4洲本)

 50年前の「強い洲本」が球場にいた。

 三回1死二、三塁。谷歩樹主将(3年)は「何とか先取点をとる」と打席に入った。

 相手は今春の選抜大会出場の東洋大姫路。前進守備でプレッシャーをかけられ、3球目のセーフティースクイズのサインで空振りした。だが、すぐに気持ちを切り替えた。

 2ストライクに追い込まれ、相手の内野手が後ろに下がった。「転がせば1点取れる」。高めの直球をたたきつけると、打球は二遊間を抜けた。その後、適時打や失策などで、この回一挙4点を奪った。

 クリーム色のユニホームに赤い靴下。洲本は今夏、1975年に夏の甲子園に出場した当時のユニホームを着ている。それから半世紀、夏の甲子園出場はなく、「強い洲本を取り戻してほしい」というOB会からの願いだった。

 谷主将は「50年前のように、自分たちもやったるぞという気持ちになった」。東洋大姫路との対戦が決まると、「俺ら以外に倒すやつはおらん」とチームが一つになった。打撃練習では速球に対応するため、投手にはマウンドから打席側に3メートル近づいて投げてもらうなどの対策をしてきた。

 だが、この日はリードした直後に3点を失い、試合の流れは東洋大姫路に。六回に逆転され、敗れた。

 谷主将は試合後、「『強い洲本』の姿を少しでも見せられたと思う。ただ、もっと3年生の仲間と一緒に野球をやりかった」と涙を拭った。

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