第156回九州地区高校野球熊本大会(県高野連主催、朝日新聞社など後援)の決勝が5日、熊本市のリブワーク藤崎台球場であり、東海大熊本星翔が4―1で文徳を破って5季ぶり15回目の優勝を決めた。19日から長崎県で開かれる九州大会に出場する。
「やっとリベンジできた」。東海大熊本星翔の主将を務める比嘉健太選手は、試合後に大きく息を吐いた。
ずっと打てなかった。準決勝までの4試合は、14打数で無安打。打順は1番から7番に下がり、決勝では8番に。この日も最初の打席は凡退した。だがねらいは定めた。「甘い変化球が来る。次は一発で仕留める」
そう心に決めて、打席がまわってきたのは1点を追う四回裏、2死二、三塁の好機だった。「スライダーだった」という初球をたたき、2人をかえして逆転した。六回の打席でも犠飛を放ち、貴重な追加点をあげた。「おまえが一番、練習してきたからな」。仲間の言葉が染みた。
この日、活躍したのは下位打線だった。流れをつくったのは、4番の2年、崎川青波選手。4打席中3打席で先頭打者となり、すべて出塁。流れを引き寄せた。「自分が打てば勝てる。先輩たちに優勝を贈れる」。自信家がひそかな誓いを果たし、本塁を2回踏み、2得点を記録した。