5日の東京株式市場で日経平均株価は続落し、前週末の終値より4451円28銭(12.40%)安い3万1458円42銭で終えた。下げ幅は、1987年10月の株価暴落「ブラックマンデー」が起きた際の3836円48銭を超え、過去最大となった。米国経済が減速するとの懸念が広がったことに加え、外国為替市場で一時1ドル=141円台まで円高ドル安が加速。リスクを避けようと、市場全体にパニック的な売りが広がった。
日経平均は前週末2日にも2216円安となっており、2営業日だけで下げ幅は計6667円に上った。背景にあるのは、米国経済の先行き懸念だ。2日に発表された米国の7月の雇用統計が市場予想を大幅に下回り、経済が減速するとの不安が一気に強まった。2日の米ニューヨーク株式市場で、主要企業で構成されるダウ工業株平均が610ドルの大幅安に。前日と合わせた下げ幅は約1100ドルとなった。
この流れを受け、週明けの日経平均は取引開始から全面安となり、午前中に下げ幅は一時、2500円を超えた。午後に入ると、底が抜けたように下げ幅が拡大。プライム市場の98.7%が値下がりし、半導体や金融銘柄など、市場全体で約800銘柄が株価の過度な変動を防ぐために売買を停止する「ストップ安」となった。終値で3万2000円を下回るのは昨年11月以来。日経平均の下落率12.40%はブラックマンデーの際の14.90%に次ぐ大きさだった。
株価の暴落を受け、日経平均の売買を一時的に停止する「サーキット・ブレーカー」が発動した。前回は2016年6月、イギリスのEU離脱(ブレグジット)が決定し、株価が大きく下落していた局面だ。東証株価指数(TOPIX)も一時、取引を停止し、こちらは東日本大震災が起きた11年3月以来となった。
円高も進み、一時141円台
急激な円高ドル安も、株価に追い打ちをかけた。米国で利下げ観測が強まるとともに、日本銀行は先月末の金融政策決定会合で追加利上げを決定。さらなる利上げにも含みを持たせた。日米の金利差縮小が意識され、円を買ってドルを売る動きが加速している。5日の東京外国為替市場で対ドル円相場は一時1ドル=141円69銭をつけ、前週末夕より7円50銭も円高が進み、約7カ月ぶりの水準となった。円高の進行は、日本の輸出関連銘柄の下押し圧力となる。これまで歴史的な円安局面で利益を膨らませてきた企業の業績への不透明感が増した。
日経平均は年初に3万3千円だった。上昇傾向が続き、2月にバブル期の高値を超え、7月11日には史上最高値となる4万2千円台をつけた。その後は急落し、この約3週間の下げ幅は1万円を超え、下落率は約25%に上る。(東谷晃平)