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決算会見に臨む東京電力HDの小早川智明社長=2025年4月30日午後5時51分、東京都千代田区、森下友貴撮影

 東京電力ホールディングス(HD)の資金繰りが悪化している。福島第一原発事故による巨額の賠償や廃炉費用を抱えるなか、料金収入など本業の稼ぎだけでは必要な投資が賄えず、足元では借金も増え、厳しい経営が続く。東電は柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働をあてにするが、簡単には動きそうもなく、新たな再建計画づくりも難航している。

 4月30日に発表した2025年3月期決算は、売上高は6兆8103億円(前年比1.6%減)だった。最終的なもうけを示す純利益は1612億円(39.8%減)。前年度は燃料価格の下落による一時的な利益が膨らんでいて、その反動が出た。

 まずまずの業績にみえるが、実際は深刻だ。その指標のひとつに「フリーキャッシュフロー」がある。本業の稼ぎで手に入れたお金から、設備投資などへの支出を引いた後に残る「自由に使える現金」のことで、4979億円の赤字だった。原発を再稼働させるための安全対策費に、送配電関連の投資や、最近の物価高が加わり、18年度から一度も黒字に転じていない。

 フリーキャッシュフローが赤…

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