東京電力ホールディングス(HD)の小早川智明社長は5日、武藤容治経済産業相を訪ね、福島第一原発の廃炉費用の一部として巨額の損失を計上したと報告し、「当面の資金確保に支障はない」との認識を伝えた。一方、報道陣から全体の廃炉費用が想定を上回るのか問われると、「現時点では(8兆円の)枠内に収まっている」と述べるにとどめた。
東電は7月末、3号機の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)を本格的に取り出す工法を選び、2037年度以降に作業を進める計画を公表した。それに伴い、デブリを取り出すための準備費用として、25年4~6月期決算で9030億円の特別損失を計上した。小早川氏は武藤氏に対し、「デブリ取り出しの準備工程の期間や費用が見通せるところまで廃炉が進捗(しんちょく)したという認識。新たな費用も見込むが、当面の資金確保に支障はない」と報告した。
政府は16年、デブリの取り…