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東京電力柏崎刈羽原発。左から5、6、7号機=2023年6月18日、新潟県柏崎市、刈羽村、朝日新聞社機から
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 東京電力が柏崎刈羽原発(新潟県)7号機の原子炉に核燃料を入れて、15日で1年となる。福島第一原発事故を起こした東電が目指す再稼働へ残るハードルは新潟県の花角(はなずみ)英世知事の同意で、判断に必要としている材料がそろいつつある。国や経済界は着々と環境整備を進めている。

 「議論の材料はそろってきた」。花角知事は今月9日の定例会見でこう語り、再稼働の同意を巡る判断に向け、機が熟しつつあることを示唆した。

 国土交通省出身の花角知事は、2018年の知事選に自民党から擁立され、初当選。再稼働について賛否を明言せず、県民の「信を問う」と主張してきた。

 柏崎刈羽原発はテロ対策の不備などの不祥事が相次ぎ、21年4月には東電が原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令を受けた。こうした状況を踏まえて花角知事は23年5月、同意判断の前提として、4項目の「議論の材料」を提示した。

 ①福島第一原発事故を巡る県の「三つの検証」②運転禁止命令の解除③県による柏崎刈羽原発の安全確認④事故を想定した「被曝(ひばく)シミュレーション」の作成など避難を巡る取り組み――で、この2年間で「材料」は集まりつつある。23年9月に①が終わり、②は同12月に解除。③は今年2月に終了し、④も早ければ今夏の前に出そろうとみられる。

 国や地元首長の間では知事の判断への期待は高まる。昨年3月に当時の経済産業相が花角知事に再稼働への理解を要請。昨年8月までに立地自治体の同県柏崎市長と刈羽村長が同意を表明した。県関係者からは「6月の県議会で表明する可能性もゼロではない」との見方も一時浮上した。

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