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新潟県

 柏崎刈羽原発(新潟県)の衛星電話の故障が4件相次いだ問題で、東京電力は12日、原因や再発防止策をまとめた報告書を原子力規制委員会に提出した。部品の劣化や製造時の不良が原因で、設備の設計から維持管理は「適切に行われている」とし、「安全文化の劣化を示す事実はない」との考えを示した。

 衛星電話は7号機の事故に備えたもので、5号機緊急時対策所に設置された5台(当時)のうち3台、7号機中央制御室の1台が相次いで故障した。報告書では、故障4件のうち2件は気温差による屋外アンテナ内の集積回路の劣化の加速、1件は接続部の防水加工の不良と分析。残り1件は一過性の不具合と判断し、「予見は困難で、組織的な問題はなかった」とする従来の考えを改めて示した。

 また、設置台数が、原発の運用ルールである保安規定で定めた台数と同じで、1台の故障が直ちに「運転上の制限(LCO)」からの逸脱となる状態にあった点について「定期的な保守点検で機能維持ができると考えられた。予備を設置しないのは当時の状況に照らして妥当な判断。組織的な問題はなかった」とした。

 東電は事前の説明で、部品の問題点を挙げて「パフォーマンス(安全確保の活動の適切性)に問題はなかった」との見方を伝えていたが、規制委は4月30日に追加検査の実施を決定し、東電に報告書を5月末までに提出するよう求めた。追加検査は、報告書の内容が妥当か、東電の対応に問題がなかったかを調べるもので、今月中にも、2~3人の検査官で2日程度実施されると見込まれる。

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