原子力規制委員会は4月30日、東京電力柏崎刈羽原発7号機(新潟県)で重大事故対策の不備が相次いだとして、追加検査することを決定した。原因を調べ、適切な再発防止策が取られているかを確認する。
昨年11月から今年1月にかけて、重大事故の際に指揮を執る緊急時対策所や中央制御室に設置されている衛星電話が相次いで使えなくなった。安全機能を確保するために定めた運用ルールに記載の「運転上の制限」を逸脱したケースが1年間で4件に上った。
逸脱事案が年4件になると、4段階ある評価基準の3番目に上がり、追加検査の対象となる。規制委は5月末までに東電から原因などの報告を受けた後、のべ40時間の検査をする。ただ、東電が今夏を見込む再稼働には直接影響しないという。
同原発ではIDカードの不正使用や侵入検知設備の故障など、テロ対策の不備が2021年に発覚。最も重い評価基準と判定され、約2年8カ月の追加検査を受けている。
この日の委員会では、衛星電話の製品不良が原因である可能性が報告された。ただ、ほかの原発でも使われている同じ製品では不具合は起きていないことをふまえ、山中伸介委員長は「本当にパフォーマンス劣化がなかったのかどうか、追加検査でしっかり見てほしい」と述べた。