東京電力の柏崎刈羽原子力発電所。手前から5号機、6号機、7号機の建屋=2025年6月17日午後3時22分、新潟県柏崎市、刈羽村、朝日新聞社機から、上田幸一撮影

 東京電力は25日、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働について、今月に原子炉に燃料を入れた6号機を優先させる方針を発表した。地元の同意を得る見通しが立っていないなか、昨年に燃料を入れた7号機は早期の再稼働を断念するという。

 福島第一原発事故を起こした東電は、国の審査が済んでいる6、7号機のうち、まず7号機について2024年4月に燃料を入れ終え、運転可能な状態にした。

 だが、新潟県の花角(はなずみ)英世知事は、再稼働への賛否を表明していない。判断の前には「県民の受け止めを見極める」手続きが必要としており、県はその手段の一つである、県民が対象の公聴会の日程が8月31日までかかると発表。判断の時期は見通せていない。

 一方、7号機は、テロ対策施設を10月13日までに設置させなければ同日以降は運転できなくなるが、東電は施設の完成時期を29年8月に延期した。10月13日までに地元の同意を得る見通しが立たないため、6号機を優先させる方針に転換した。

「6号機に集中すべきだと判断した」

 6号機は今月21日に燃料を入れ終えており、こちらのテロ対策施設設置期限である29年9月1日までに地元同意を得られれば、それまでは運転できる。柏崎刈羽原発の稲垣武之所長はこの日の定例記者会見で、再稼働に向けた準備について「6号機に集中すべきだと判断した」と語った。そのうえで「東日本の電力需給にとって大きな位置づけだと考えており、できるだけ早い段階で貢献したい」と語り、6号機の早期再稼働を目指す考えを強調した。

 一方、花角知事は今月19日、再稼働の可否について、自らの判断を表明した後、選挙などで県民の意思を確認してから国に回答する考えを表明した。県民の意思を確認する方法は明らかにしていないが、選挙などを示唆している。これにより、再稼働は仮に知事が賛成を表明しても、選挙などを経てからになった。花角知事の任期満了は来年6月。

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