シロイヌナズナの近縁種=東京大提供

 ヒトや植物のDNAに刻まれた遺伝情報は徐々に変化する。だが、DNAの全ての部分が同じような速さで変化するわけではなく、進化が速い部分があるという。東京大の角谷徹仁教授ら(植物学)のグループが調べている「セントロメア」だ。

 セントロメアは、DNAがたんぱく質に巻き付いた構造物「染色体」の真ん中にあるくびれた部分のこと。細胞が分裂して増える際、それぞれの細胞に遺伝情報をそっくりそのまま引き継ぐのに重要な役割を果たす。

染色体のセントロメアとは

 重要なDNA配列は変化にしにくい。言い換えると進化の速度が遅い。なのでセントロメアのDNA配列も変化しにくいはずだが、なぜか進化が速い。「セントロメアパラドックス」と呼ばれ、生物共通の謎だった。

 いったい何が起こっているのか。

 グループが注目したのは、特…

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