東京五輪女子70キロ級準決勝で新井千鶴(左)と対戦するマディナ・タイマゾワ=2021年7月28日、日本武道館、加藤諒撮影

 柔道界は身だしなみに厳しい。

 国際柔道連盟(IJF)で髪の毛のルールが明文化されたのは2022年からだ。23年には別のルールも適用され、選手の「上衣」の裾が5~10センチほど長くなっている。

 選手の動きをじゃましてしまう、といったことだけではない。そこには、いくつかの狙いがある。

 ウェブメディアeJudoの古田英毅編集長は髪の毛のルールについて、「(2021年にあった)東京五輪女子70キロ級準決勝の新井千鶴対マディナ・タイマゾワ(ROC=ロシア・オリンピック委員会)の試合の影響だと言われている」と話す。

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 延長を含め16分を超す激闘で、試合中にタイマゾワが何度も、何度も髪を直す場面があり、そのたびに試合が中断したからだ。

 そこで、ゴムなどで留めた髪を結び直すのは1試合に1回までになった。2回目以降は「指導」の対象になる。試合中に「指導」を3回受けると反則負けになる。

 全日本柔道連盟の「柔道審判ライセンスガイド」によると、長い髪は試合相手の迷惑にならないよう束ねることが求められている。また、髪を束ねているゴムが取れていないのに、自ら取り外して結い直すことも遅延行為と見なされるという。

 着衣の乱れにも厳しい目が向…

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