「鴻池の犬」で朝日名人会の観客を沸かせる柳家さん喬=2024年5月18日、東京都千代田区 (C)武藤奈緒美

 古今亭志ん朝、五代目柳家小さん、桂米朝、柳家小三治……。今年25周年を迎えた「朝日名人会」(東京・有楽町朝日ホール、朝日新聞社など主催)には、多くのレジェンドの噺家(はなしか)が足跡を残してきた。10月の公演でトリを務めるのは、今年落語協会の新会長となった柳家さん喬。朝日名人会の高座に四半世紀にわたり上がってきた顔の一人だ。

 「東京で一、二と言われる会ですから、最初は緊張しましたよ」

 TBSテレビが都内で定期的に主催している「落語研究会」とは違いを感じたという。「落語研究会はお客様も勉強に来るというところがありましたけど、朝日名人会のお客様は素直に楽しみに来てくださってよく笑っていただける。それは、ずっと変わりません」とほほ笑みながら振り返る。

 朝日名人会の第1回公演は1999年2月。プロデューサーは当時から京須偕充が務めている。

 さん喬はその年の暮れに「片棒」で初出演し、芸歴40年を迎えた2007年4月に「百年目」で初めてトリを任された。レジェンドたちの後を継ぐように通算50回の高座を重ねてきた。

 さわやかな美声でたちまち、噺の情景を描き出す。その腕から「人情噺(ばなし)の名手」と紹介されることが多いが、滑稽噺が大好き。新作落語にも取り組む。

 今年6月には落語協会の会長に就任した。

 「落語を守ることは、決して退くことや停滞することじゃない。守るために攻める。先人が築いた落語と、それを伝える現在、これから先へと動かしていく未来が一緒にあるのが落語の良さなんです」。多様性こそ魅力と熱く語る。

柳家さん喬出演の第243回朝日名人会は、10月19日(土)午後2時~東京・有楽町朝日ホール。4500円(全席指定)。詳しくはこちらから(https://www.asahi-hall.jp/yurakucho/concert/#02)。

 その攻めの姿勢がくっきり表…

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