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笑顔で記念撮影におさまる高根沢町立阿久津の3年生と野本宏美教諭ら=2024年9月8日午後2時53分、宇都宮市明保野町の市文化会館、魚住ゆかり撮影

 迫力ある演奏には大人数が有利だ。東関東吹奏楽コンクール中学生A部門は、1団体あたりの出場人数の上限が50人だが、少子化や教員の働き方改革の影響で部員が集まりにくく、8日に演奏した24団体の約半数が50人未満だった。栃木県勢の4団体は少人数ながら熱い演奏を披露した。

 高根沢町立阿久津は33人で、自由曲に「ブリュッセル・レクイエム」(アッペルモント作曲)を披露して銀賞を受けた。

 50~60人での演奏が想定される難曲の練習を始めたのは、1月末。楽器をやりくりし、補い合って挑んだ。顧問の野本宏美教諭(27)は、「人数は少ないけれど、取り組みがいがあるレベルの高い曲を、と決めました。部員たちはよく頑張った。今日は、落ち着いて冷静に吹けたと思います」と、ねぎらった。

 木琴の見事なソロを披露した部長の川島航さん(3年)は、「自分たちには、ちょっとレベルが高かったかもしれないけれど、こうして東関東でも演奏できて、いい経験になりました」と笑って続けた。「これからもずっと、吹奏楽も音楽も大好きだと思います」

 小山市立小山三は部員33人。この日は自由曲「梁塵秘抄(りょうじんひしょう)~熊野古道の幻想~」(福島弘和作曲)などを演奏して銅賞だった。

 少人数でも熱のこもった演奏を仕上げるのに力を入れたのは基本の徹底だ。顧問の阿部悟士教諭(50)は「メンバーが少ない分、音の重なりを重視した」という。春先には全体練習よりも基礎練習やパート練習に時間を割いて、一つひとつの音を確かめた。

 部長の高見咲來さん(3年)は「腹筋を意識したロングトーンなどをみっちりやりました。そのためか、今日は仲間との音、気持ちをしっかり合わせた演奏ができました」。

 県勢はほかに栃木市立東陽が42人、宇都宮市立陽南は35人で演奏して会場を沸かせた。(上田雅文、魚住ゆかり)

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