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銭屋五兵衛記念館で北前船の4分の1模型の前に立つ濱岡伸也館長=2025年3月17日午後、金沢市金石本町、樫村伸哉撮影

 絶頂から破滅へ。激しい転変をたどった人生がある。幕末の加賀藩を支えた豪商・銭屋五兵衛(1773―1852)。北前船で巨万の富を築いて「銭五」の名をとどろかせたが、埋め立て工事をめぐる無実の罪で獄死した。その「夢の跡」を追って、故郷の金沢市金石地区かいわいを歩いた。

 金石港近くにある石川県銭屋五兵衛記念館。1隻の船に張られた白い帆を、来館した男性が見上げている。「北前船のスケールの大きさがはっきりわかる」。銭五が建造した常豊(じょうほう)丸の4分の1サイズの復元模型だ。

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銭五の蔵をイメージした外観の銭屋五兵衛記念館=2025年3月9日午後、金沢市金石本町、樫村伸哉撮影

 銭五は現在の金石にあたる宮腰(みやのこし)の両替商の家に生まれ、17歳で家業を継いで質屋、材木商などを営んだ。海運業を始めたのは、39歳で質流れの船を修理して米を運んだのがきっかけだった。

 記念館によると、財政再建を…

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