兵庫県の県立高校の再編に伴って今春、姫路南、網干、家島の3校が統合して県立姫路海稜高校(姫路市)が誕生した。「校則がない」ことが特徴で、学習面では自ら学びを進める探究活動に力を注ぐ。「自主」や「20年後を見据えた学校づくり」をキーワードに走り出した学校を訪ねた。
8月19、20日にあったオープン・ハイスクール。1期生である同校の1年生(8クラス計289人)の代表者が、来春の入学を希望する計約1200人の中学3年生に向けて、パネルディスカッション形式で学校生活について発表した。
そこで生徒たちは、学校には「校則がない」こと、実はそれが「大変」なことだと伝えた。
「人によってマナーが変わるので、相手にどう思われるかを考えるのが大変」
「ある程度自由にしているけど、すべて自分で考えて動かないといけないのが大変」
制服はあるが、細かな規定はない。髪形も自由。通学に電動自転車を使うこともできる。クラスで何か順番を決めるときはじゃんけんではなく、スマホアプリのルーレットを使う。
塚田誠司校長は昨春、姫路南の校長に着任した。「三十数年間、どちらかと言えば厳しくガチガチの生徒指導をしてきた方」という。一方で、「校則って、教員が指導をやりやすいようにするために作られたものでは」との思いも抱き続けてきた。
生徒たちの明るく爽やかな姿をみているうち、統合後の姫路海稜では「校則なしでいってみよう」と考えた。賛同する教員もいて、「最終的には自分が責任を取る」と「校則なし」を決断した。姫路南高校の校則も今春廃止した。
塚田校長が校則をなくす代わりに、生徒たちに伝えているのは、「時を守り、場を清め、礼を正す」ということ。あとは「自分たちで考えてほしい」と話している。
オープン・ハイスクールでは、生徒たちが中学生を連れて校内を案内する場面もあった。小型扇風機を自分の顔に当てながら案内する生徒に、塚田校長は「それってどうなん? レジャー施設のスタッフがファンを使いながら案内するかな」と語りかけた。「礼」についての問いかけだ。「日頃はOKで、暑くてつい使ったんでしょう。最初はピンとこなかったようだが、分かってくれたと思う」
校則がないことによる問題は、今のところ生じていないという。
姫路海稜のもう一つの特徴が探究活動だ。地域課題について自主的に調べ、解決策を探る。県立高校に3校しかない「地域科学探究科」を設けているほか、普通科の生徒たちも探究の単位を取らなければならない。
開校後、さっそく探究科の1年生は「ポイ捨てゼロへの挑戦」のテーマでフィールドワークをしながら学習をしている。普通科の生徒も「初めまして、姫路市です」のテーマで情報収集をする学習をした。
生徒らの探究の成果を生かすため、今後は大学入試の「総合型選抜入試」に力を入れていく予定という。
塚田校長はいう。
「『ピアスいいんだ』『スカートは短くていいんだ』というところにこだわるのではなく、『探究って楽しいな』『社会に役立つには勉強せなあかんな』と、学習の方に夢中になってほしい。社会に出ても、自分で考え、相手や周囲を思いながら行動できる人になってほしい」
朝日新聞の取材では、県立高校では少なくとも兵庫高校と明石北高校の2校も校則をなくしている。
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〈兵庫県立姫路海稜高校〉 姫路南、網干、家島の県立高校3校が統合して4月に開校し、1年生が入学。姫路南の校舎を活用している。3校には今も2、3年生が通うが、2027年3月に閉校する。