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 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の候補地選びが足踏みしている。選定プロセスの第1段階の調査を受け入れたのは全国で3町村。直近の佐賀県玄海町の受け入れ表明から10日で1年となるが、後に続く自治体はない。原発のある自治体は、核のごみが止め置かれることに危機感を抱き、議論を呼び起こそうと動き始めている。

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 「あと1年ぐらいの調査の間に、2、3カ所でも(他の自治体が)手を挙げてくれるところが出てくれば……」。九州電力玄海原発がある佐賀県玄海町(人口約4800人)の脇山伸太郎町長は4月下旬、朝日新聞の取材にこう話した。

写真・図版
九州電力の玄海原発3号機(左)と4号機=2022年6月、佐賀県玄海町、朝日新聞社ヘリから

 処分場選びのプロセスの第1段階の「文献調査」。昨年5月に脇山氏が受け入れを表明し、原子力発電環境整備機構(NUMO)が2年程度かけて地質図などを調べている。

 脇山氏はもともと調査に後ろ向きだった。町の面積が狭いうえ、国の「科学的特性マップ」でも地下に石炭資源があることを踏まえ、「好ましくない特性があると推定される地域」とされる。

 受け入れに転じたのは、議会…

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