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オスロの「ノーベル平和センター」で講演する日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)事務局次長の和田征子(まさこ)さん=2025年8月6日、森岡みづほ撮影

 広島への原爆投下から80年を迎えた6日、ノルウェー・オスロの博物館「ノーベル平和センター」で平和会議が開かれた。昨年のノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)事務局次長の和田征子(まさこ)さん(81)が講演で、核兵器廃絶に向けて「私たちの声を聞いて、行動を起こして下さい」と呼びかけた。

 和田さんは1歳10カ月の時、長崎の爆心地から約2.9キロ離れた自宅で被爆。当時の記憶はないが、母が繰り返し語っていた被爆体験をもとに国内外で原爆被害の証言を続けている。

 「爆心地から逃れ、よろめきながら歩いてくる人たちはアリの行列のように見えた。全身が焼けて衣類はほとんどなく、髪の毛は血で固まり角のようになっていた」「家の隣の空き地は火葬場となり、ゴミ収集車で運ばれてきた死体が毎日焼却された」。和田さんは当時の惨状をこう語り、「人間の尊厳とは何なのか。人間があのように扱われていいのでしょうか」と聴衆に問いかけた。

 さらに「核兵器保有国とその同盟国は、自らの不誠実さと傲慢(ごうまん)さのために人類全体が核戦争の瀬戸際に立たされているという事実を認識するべきだ」と発言。広島と長崎への原爆投下から80年を迎える今でも、各国が軍事力を増強し、新兵器の開発を進めていることに警鐘を鳴らした。

 和田さんは講演を終えた後…

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