イランの核開発問題に関し、米国とイランは12日、オマーンの首都マスカットで協議を開始した。イランの外務省報道官がX(旧ツイッター)で発表した。イランのアラグチ外相、米国のウィトコフ中東担当特使が各代表団を率いる。米国は直接協議とし、1期目のトランプ政権がイラン核合意から一方的に離脱して以来、初めてとみられるが、イランはオマーンを介した間接協議としている。緊張緩和に向けて具体的な交渉に入れるかが焦点だ。
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米国はオバマ政権下の2015年、イランや英仏独ロ中とともに、イランの核開発を制限する代わりに経済制裁を緩和する「イラン核合意」を結んだ。オバマ氏が達成した主要な外交成果の一つだったが、トランプ大統領は1期目の18年に合意から離脱。「最大限の圧力」を掲げて強い制裁を復活させ、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を暗殺した。
その後のバイデン政権は、核合意の再建を目指し、欧州連合(EU)を仲介役として間接交渉を進めたが、協議はまとまらなかった。
2期目のトランプ氏は、圧力政策は続ける一方で、イランとの取引に一転して前向きな姿勢を見せている。「平和の使者」になることを2期目の目標とするが、パレスチナ自治区ガザやウクライナでの戦争を止めることは出来ていない。自慢の「ディール(取引)外交」での成果が欲しいトランプ氏は、イランの核問題を次の標的に設定。3月に最高指導者ハメネイ師への書簡で交渉を呼びかけた。
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