室内の空間で、場所によって生まれる温度差の「むら」を解析するサービスが、トマト栽培のハウスで使われている。活用するセンサーに生かされているのは、新車開発に欠かせない計測技術。トヨタ自動車の100%子会社が事業化した。品質を保ち生産性を高めたい現場へ、新たな参入の機会を探る。

ミニトマトの栽培ハウスで、計測した温度のデータをもとにダクトを調整する=2月28日、愛知県豊橋市

 愛知県豊橋市のミニトマトのハウスを2月下旬に訪れると、茎や葉が壁のように高く連なっていた。その間の高さ3メートルほどの位置に、日よけ傘に覆われた黄色い小型センサーが見える。

 3400平方メートルのハウスに、センサーは9カ所ある。目的は温度や湿度、二酸化炭素の濃度のデータを計測することだ。クラウド上では、場所によって異なる温度がグラフで見える化される。これに基づき、暖房の熱が送られる円筒状のダクトの開閉場所などを具体的に提案し、温度むらの幅を抑えていく。

ミニトマトを栽培するハウスで見上げると、温度を測定するセンサーがあった=2月28日、愛知県豊橋市

 この「夜間温度むら解析サービス」を手がけるのは、トヨタテクニカルディベロップメント(TTDC、本社・同県豊田市)。もともと、エンジンの回転数などさまざまな車の開発に関する計測を得意とする会社だ。農家向けの新規事業を探るなかで、小型の環境センサーを開発した。

 ミニトマトやイチゴのハウス…

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