桜の季節。川崎市中原区の読者、阿部敏恵さん(69)が「亡き友と一緒に歩いた散歩道です」と、思い出の散策ルートを朝日新聞横浜総局に寄せてくれました。
阿部さんが友人の小川京子さんと出会ったのは、長女がまだ幼いときだった。家が近く、公園で互いの娘を遊ばせているうちに、仲良くなった。
年上の小川さんはいつもパワフルで明るく、くよくよしない女性だった。得意の和裁で身を立てていた。
子育てや仕事に忙しく疎遠になった時期もあった。
連絡が途絶えていた間、小川さんが乳がんを患い、手術したことを知った。抗がん剤治療が一段落し、元気になった小川さんとランチに行ったり、四国や北海道、京都などに旅行したりした。
4年前、夫を亡くした時も支えてくれた。
夫に「ゴミ出しありがとう」と伝え、おやすみなさいと言った翌日、脳出血による突然の別れだった。ぼうぜんとしていると「きっと自分の時間を好きなように過ごしなさいということよ」と励ましてくれた。
「ありがとう」と唇を動かしたあとに
そのころ、小川さんは定期検診で骨への転移が見つかった。
抗がん剤治療に備えてウィッグ…