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草の原になってしまった休耕田を田起こし。文字どおり「牛馬のように」働くギャル原

記者コラム 「多事奏論」 編集委員(天草)・近藤康太郎

 大型連休とはいっさい関係なく、新緑の山奥棚田で、絶賛田起こし中である。「米は買ったほうが安い」と脱落する農家が近所でまた1軒出たが、わたしはやめない。意固地という病。

 今年は愛読者に奪われて(Reライフ面に既報)自分の米が一粒もない。イワシの丸干しかなんかをおかずに、パンの耳を主食としている。鍬(くわ)を握る手にも力が入る。それはそうと、冬の猟期から春の田仕事に移ると、ほっとする読者もいるようだ。「殺生」から「生かす、育てる」業になったから、と。

 わたしは少し違う考えを持つ。田仕事だって殺生なんだ。土をテーラー(耕運機)で掘り返せば巻き添えでカエルやミミズは死ぬし、ジャンボタニシは捕らえて踏みつぶす。雑草を刈っていて誤って蛇を半身に切ってしまったことがある。

 人間なんてラララ、みんな業が深いんだ。ここ11年の肉体労働で、脳に汗がしみて、そう分かった。

 詩人の石垣りんを好きなのも…

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