夏のコンクールに向け、吹奏楽部の練習が熱を帯びるシーズンがやってきた。
6月中旬、熊本市立帯山中(中央区)の音楽室から聞こえてくるのは、合奏練習の楽器の音だけではなかった。
「そこは『タアア~ン』って、色をつけなきゃ」。オペラ歌手のような歌声が、仮設校舎の音楽室に響き渡る。吹奏楽部顧問の小島由利佳さん(63)は音大の声楽科出身。フレーズの「うたい方」を、部員たちにオペラの歌唱法で、文字通り歌って聴かせている。
音楽表現の基本は「歌」にある、というのが小島さんのモットー。サックスの新野莉心亜(りみあ)さん(3年)は「先生の歌をまねするように頑張っている」。部員たちは表現豊かに演奏しようと、懸命に小島先生の「歌」についていく。
今年は、自由曲にイタリアの…