楽天の堀内謙伍

 (4日、プロ野球 東北楽天ゴールデンイーグルス14―3オリックス・バファローズ)

 一塁へ走り出し、3度握った右拳に万感の思いがこもる。二回、2―2とし、なおも無死一、三塁だった。

 楽天の堀内謙伍が右前へ決勝打をはじき返した。

 4連敗中のチームはこの日も先行を許し、先発マスクをかぶる8番打者には、ふがいなさしかなかった。「考えている暇はなく必死」。この快打でチームを勢いづけ、今季最多の20安打14得点だ。

  • 楽天・堀内謙伍、先発マスクなら7戦全勝 苦節10年目、前だけ見て

 プロ10年目の28歳にとって、6年ぶりの適時打になる。静岡高からプロ入りし、「ポスト嶋基宏」(現ヤクルトヘッドコーチ)として未来を期待された時期がある。自己最多の65試合に出場した2019年のことだった。

 だが、その年を境に出番は減る。

 次々に入団してきた太田光、石原彪、安田悠馬らに正捕手争いで敗れた。以降は、出場しても多くてシーズン10試合。秋が来るたび、戦力外通告の恐怖におびえた。

 「毎年、苦しかった。何をやっても結果が出なくて、投げ出したい、くじけそうな時もあった」。それでも、下だけは向かない。

 「どんなに苦しい時でも家族がずっと支えてくれた」

 そして、三木肇監督が「再登板」した今季は4月中旬から先発マスクを任されるようになり、この日はプロ初の1試合3安打。「いつかチャンスが巡ってくる。そう思いながら、ずっとやってきた」。何より連敗ストップが良薬になる。「諦めずに頑張ることはすごく学んできた。その気持ちを忘れずにいきたい」

 野球人生が絶たれるかもしれない怖さも力に。そんな芯の強さが支えになる。

5連敗逃れる

楽天が14得点で5連敗を逃れた。二回に堀内が勝ち越し打を放った。中島は計5打点。岸が5回3失点で2勝目。オリックスは4連勝ならず。

「勝利にかなり貢献」

 三木監督(楽) 堀内が6年ぶりの適時打。「若い時から見ている中で、色々取り組んで前進している部分もある。今日の勝利にかなり貢献してくれた」

 中島(楽) ともにプロ初の4安打5打点。本塁打が出ればサイクル安打の達成だったが、「ちょっと意識したが、狙って打てるタイプではない」。

 中込(楽) 四国ILp徳島出身の新人右腕がプロ初登板で1回無失点。「デビューできて良かったけど、思うような球は投げられなかった」

 岸(楽) 五回まで9安打を浴びながら粘り、3失点で2勝目。「勝たせてもらった感じなので、次は長い回をいけたらと思います」

共有
Exit mobile version