楽天の加治屋蓮

 穏やかな語り口、柔らかな表情からは、苦労を感じさせない。

 昨秋、阪神から自身2度目の戦力外通告を受け、新たに東北楽天ゴールデンイーグルスのユニホームに袖を通した。

 さまざまな経験を重ねたからか、加治屋蓮は冷静だ。

 「戦力として必要ないと言われたら受け止めざるをえないし、戦力外にしたチームを見返してやろうといった気持ちもない。頑張っていれば報われる形がある。阪神にも、楽天にも拾っていただきましたし」

 力は申し分ない。

 が、けがもあって好成績を維持できず、憂き目にあってきた。

 楽天では目下、セットアッパーにつなぐ「勝ちパターン」の一角を担いつつある。

 6月4日のDeNA戦では2年ぶり2度目のセーブも挙げた。

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 ソフトバンク、阪神という常勝チームで日本一を経験した右腕は、自らの役割をこう自覚している。

 「これまで経験したことや、良いところをチームに広めて強くしていきたい。それが一番やりたいこと」

 その「勝者のメンタリティー」は確かに、昨シーズンまで3年連続Bクラス(4位以下)に沈んだチームを変えようとしている。

 リリーフ陣のリーダー、則本昂大は、加治屋加入による変化を感じている一人だ。則本が加治屋の1学年上にあたる。

 「カジは勝負に対して一生懸命で、ダメなことはダメと言うし、阪神、(ソフトバンク)ホークスという常勝軍団でやっていたメンタリティーはやっぱり違う」

 そして、核心を突くかのように続けた。

 「若い選手が多い、うちのチ…

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