大井川の源流部、南アルプスの3千メートル級の山々に囲まれた井川蒸溜所=2025年4月4日午後3時44分、静岡市葵区田代

 静岡市の最北部、大井川源流部の南アルプスの山々に囲まれた標高約1200メートル地点に「井川(いかわ)蒸溜所」がある。日本一標高の高いウイスキー蒸留所と言われる。市街地からは車で4時間以上、許可車両しか入れない林道の先にある「日本一行きづらい」蒸留所でもある。第2弾となるウイスキーを出すと聞き、現地を案内してもらった。

 静岡市の市街地から3時間余り。細くカーブの続く山道をたどりながら井川ダムのある静岡市葵区井川の集落を過ぎて、畑薙第一ダムに着く。そこから、許可がないと入れない林道東俣線をさらに1時間ほど上る。南アルプスは年数ミリの隆起が続く地殻の変動の激しい地帯。落石が相次いでいて、車内でも万が一に備えてヘルメット着用は必須だ。

 南アルプスの登山基地である宿泊施設「椹島(さわらじま)ロッヂ」を過ぎてしばらくすると、川のそばの林の中に黒い建物が見えてきた。特種東海製紙のグループ会社「十山」が作った井川蒸溜所だ。

静岡市の中心部から車で4時間以上かかる井川蒸留所。南アルプスの山々に囲まれた秘境の地に作った蒸留所にかける思いとは。

井川蒸溜所の地図

 建物中には、ポットスチルと…

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