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郵政管理・支援機構が朝日新聞に開示した資料

 満期から一定期間が過ぎて権利が消えた郵便貯金のうち、今年1~6月に貯金者が返金請求をして審査されたのは1252件で、そのすべてが認められたことがわかった。1月に返金の基準を見直した影響だとみられ、審査件数のうち返金を認めた承認率は100%となった。ただ、結論を保留しているケースは件数に含まれていない。

 朝日新聞が民営化前の郵便貯金の一部を管理する郵政管理・支援機構に、1~6月の審査・承認数や返金額を情報公開請求した。開示資料によると、返金額は元本ベースで7.4億円。単純計算では過去最高のペースだ。

 機構の担当者は「預金者に一層寄り添う観点から、運用を見直した結果だと思う」としている。

 ただ、朝日新聞の取材では、返金基準に合わないと判断しつつ、不承認とはせずに追加の説明を求める「照会」文書を出しているケースがある。この場合は開示された件数に含まれず、不承認とみなす事例が今後、出てくる可能性がある。

 民営化前の定額貯金などは、旧郵便貯金法により満期後約20年(定額貯金は預けてから約30年)で貯金者の権利が消え、多くは国庫に入る。民間銀行とは異なる特殊な制度だが、認知症患者の家族の抗議を機に、2011年からは天災や事故といった「やむを得ない」場合に限って返金に応じてきた。

 だが、消滅制度を知らない利…

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