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開会式のリハーサルでグラウンドに整列した選手ら=2025年3月17日午前10時32分、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場、富田祥広撮影

 低反発の新基準バットの導入から1年。投手有利の状況は変わらず、複数の好投手がそろう横浜(神奈川)、東洋大姫路(兵庫)、健大高崎(群馬)が優勝に近い存在だ。

 横浜はエース左腕の奥村頼人が140キロ台中盤の直球に加え、スライダー、チェンジアップなど変化球も多彩。最速151キロ右腕の2年生、織田翔希は昨秋の明治神宮大会準々決勝で明徳義塾(高知)を完封した。ともに昨秋は防御率0点台と、抜群の安定感を誇る。

 打線は主将の阿部葉太らパワーと技術を兼ね備えた打者が並ぶ。総合力が高く、神宮大会を27年ぶりに制した勢いで、19年ぶりの選抜優勝をめざす。

 初優勝を狙う東洋大姫路は最速147キロのエース右腕・阪下漣は制球力があり、大崩れしない。昨秋の近畿大会は27回余りを投げて1失点で優勝に貢献した。ひと冬越えて直球の球威が増し、投球の幅も広がった。

 技巧派左腕の末永晄大は変化球の精度が高く、試合を作ることができる。打線は秋15試合で計142安打と強力で、要になる見村昊成のスイングには目を見張るものがある。

 史上4校目の大会連覇がかかる健大高崎は、最速158キロ右腕の石垣元気が大会直前に左脇付近を痛めたといい、調子が気がかり。ただ、昨夏の甲子園を経験した身長182センチの下重賢慎ら他の好投手も控えるなど、投手層は出場校トップクラスだ。

 健大高崎と対戦する明徳義塾(高知)の左腕・池崎安侍朗は大会屈指の好左腕。変化球のキレで勝負し、マウンドさばきがうまい。例年通り守備は鍛えられ、低反発バットも相まって「守り勝つ野球」に磨きがかかっている。

継投確立の青森山田、投打そろう高松商も

 青森山田は乕谷(とらたに)朔ノ助、菊池統磨、下山大昂の右腕3人で継投するパターンを確立した。佐藤洸史郎、菊池伊真ら昨夏の甲子園4強入りのメンバーが多く残り、大舞台には慣れている。1回戦で対戦する沖縄尚学の2年生エースの左腕・末吉良丞は最速150キロ。昨秋の奪三振数は投球回数を上回る。

 投打ともに粒そろいの高松商(香川)は、波に乗れば65年ぶりの頂点も見える。2季連続甲子園出場の早稲田実(東京)は昨年からエースの左腕・中村心大が大黒柱。高松商と早稲田実は101年前の第1回大会決勝で対戦し、このときは高松商が勝った。早稲田実は先輩たちのリベンジを果たせるか。

 小技が光る広島商、強打の敦賀気比(福井)も上位をうかがう。初出場の浦和実(埼玉)、千葉黎明、滋賀短大付、エナジックスポーツ(沖縄)は初戦突破をめざす。21世紀枠の壱岐(長崎)、横浜清陵にも注目だ。

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