横浜―沖縄尚学 八回裏沖縄尚学2死満塁、新垣瑞を遊ゴロに仕留め、声を出す奥村頼=滝沢美穂子撮影

 (24日、第97回選抜高校野球大会2回戦 横浜8―7沖縄尚学)

 怒り、やるせなさ、ふがいなさ……。横浜の背番号「1」を背負う奥村頼人(らいと)は、思わず態度に出してしまった。

 八回、1点差に迫られてなお1死二、三塁で降板を告げられると、あとを託す片山大輔に、下からぽーんとボールを放り投げた。ふてくされて左翼の守備についた。

 「あの時と同じ。すごい悔しかった」

 昨夏の神奈川大会決勝。八回1死二、三塁のピンチを招き、同じように交代させられた。チームはここから逆転負けし、甲子園出場を逃した。「信頼できなかった」。試合後に村田浩明監督から言われた言葉が忘れられない。

 そこから誰よりも練習した。「一番練習をしないと、一番信頼もしてもらえない」。朝の自主練習から走り込み、一回りたくましくなって迎えた選抜だ。

 片山が打者2人に投げ、2死満塁になったところで再びマウンドを託された。捕手の駒橋優樹から「信頼してもらったんだから、しっかり投げろよ」と背中を押された。7球連続直球で勝負し、遊ゴロに打ち取った。

 ベンチに戻ると、試合中にいらだちを態度に出したことを監督に謝った。「もう1回、しっかりと頼むぞ」と返され、九回を3人で抑えた。

 「エースとして、しっかり堂々と投げられなかった。まだまだ甘い」。あの夏の悪夢、この日の悔しさと抑えた自信。すべてを糧に、大きく成長してみせる。名前の通り、もっと頼られる人になる――。

  • 横浜が沖縄尚学との接戦制す 阿部葉が右中間3ラン、のべ6人の継投

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