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北村亘・大阪大教授
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 横浜市長選が20日、告示される。全国の市で最多の377万人が暮らす横浜市は財政上の大きな課題を抱えている。次の4年を担うリーダーは、政策実現と財政健全化の両立という難しいかじ取りを迫られる。

 「本市の財政状況は持続性に欠けた危機的な状態にあります」

 横浜市は市のサイト「ワンストップ財政情報」でこう解説する。

 危機的状況を示すものに減債基金の取り崩しがある。減債基金とは、自治体が世代間の負担の公平性を考え、将来の借金返済に備えて一般会計から計画的に積み立てる資金だ。

 大阪府では2001~07年度、減債基金から一般会計に計5202億円を借り入れ、財源不足を穴埋めした。財政赤字を少なく見せかけることにつながることから、当時は財政運営の「禁じ手」として問題になり、08年に就任した橋下徹府知事(当時)が決別を宣言。職員給与カットなどを打ち出したが、負の遺産を清算するのに23年度までかかった。

 減債基金を取り崩す政令指定都市はほかにもあるが、23年度時点で一般会計に流用している額は、517億円の川崎市や470億円の京都市などと比べても、3138億円の横浜市は突出して多い。

 横浜市が取り崩しを始めたのは1994年度にさかのぼる。なぜか。

 横浜市が抜本的な財政再建の道筋を描けないまま30年以上の時が流れました。この間、カジノを含む統合型リゾート(IR)構想に頼った解決を試みた時期もありましたが、4年前の市長選を経て中止が決まりました。記事の後半では「漢方薬的な対策」を処方する専門家の話を紹介しています。

コロナ禍など追い打ち

 市がまとめた「財政のあらま…

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