情報公開請求で開示された横浜市議の駐車履歴が記録された「定期車入出庫記録」

 横浜市議会が入る横浜市庁舎(横浜市中区)の市議専用駐車スペースに、一部の市議が複数の車を同時に駐車したり、長期間止めっぱなしにしたりしていることが朝日新聞の情報公開請求でわかった。市議は駐車が無料で、電気自動車も格安に充電できることから、識者からは「必要以上の厚遇で議員特権だ」との指摘も出ている。

 市議専用駐車スペースは地下2階にあり、市議会定数と同じ86枠が確保されている。

 地下1階の一般来庁者向け駐車場は有料(手続きなどで来庁した場合は60分まで無料)だが、市議は登録した車であれば、専用スペースの空いている枠に無料で駐車できる仕組み。

 一角には電気自動車の充電設備が計10基整備され、市議は自己申告で使用量にかかわらず1回あたり100円を支払う運用になっているという。

 朝日新聞は①2024年3月18日~6月25日、②同年7月1日~10月8日の計200日分の市議の駐車記録を市に情報公開請求した。

 開示された駐車記録を分析したところ、議長経験者のベテラン市議2人の駐車時間が突出していた。

40日以上連続で駐車も

 200日間の駐車時間は、最も長かったA氏が計5735時間9分(238日分に相当)、B氏が計5374時間2分(223日分に相当)だった。

 A氏は2台の駐車履歴があり、1台を止めっぱなしにしながら、別の1台で登庁していた。期間中に40日以上連続で駐車したケースは3回あった。

 3台の駐車履歴があるB氏も、1台が止まった状態で別の車を使って登退庁したり、休日に車を乗り換えたりするケースがあった。5日以上連続で駐車したのは計14回にのぼり、24日連続で駐車した期間もあった。

 一方、登退庁表示システムのログ記録を市に情報公開請求し、この200日にこの2人が市庁舎に入退室した記録を調べたところ、ログで確認できたのは、A氏が120日、B氏が105日にとどまった。

 市議会局によると、市議に配布しているマニュアルで、駐車場について「公用以外での利用はご遠慮ください」と呼びかけているという。ただ、こうした使われ方について見解を尋ねたところ、「(駐車履歴を管轄する部署から)情報の提供を受けておらず、把握していない」とした。

 全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士は「駐車場が満車になって市議が議会に遅刻するのを防ぐ目的であれば、専用駐車スペースを設けるのもある程度理解できるが、閉会中も確保するのは合理性がなく、本来の趣旨から逸脱している」と指摘する。

 横浜市議会は本会議や委員会に出席した際に費用弁償として1千~3千円を支給しており、「駐車場まで無料で使わせる必要があるのか。もし私的に使っていれば、市民の納得は得られない。電気自動車の充電設備の料金設定も必要以上の厚遇で議員特権のようなものだ」と述べた。

市議は「反省している」、「市から忠告ない」

 A氏は朝日新聞の取材に「良いことじゃないので車は移動させた。最初はコインパーキングに止めていたが、体調不良の時期が重なり、移動させるのが面倒になった。反省している」と話した。一方、B氏は「登庁後に会合に出て電車で帰り、また(別の)車で来た場合にそのまま止めてしまった場合もある。市から忠告を受けたこともないし、ここを(私的な)駐車場にしているわけじゃない」と述べた。

横浜市庁舎の地下駐車場入り口=2025年1月24日、横浜市中区、堅島敢太郎撮影(画像の一部を加工しています)

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