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「C」を三つ横に並べたマークがついたモバイルバッテリー(画面左2枚)/中国の空港で大量のモバイルバッテリーが没収されている(画面右2枚)=中国のSNSなどから

 7月上旬。記者が北京首都空港で搭乗手続きを済ませ、セキュリティーゲートに向かうその手前に、以前は見かけなかった即席の検査場ができあがっていた。

 機内持ち込みが禁止され、その箱に捨てられていたのは、水入りペットボトルでもライターでもなく、スマホの充電に使うモバイルバッテリーだ。のぞき込むと、多くの電池が積み重なるように捨てられていた。

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北京首都空港のモバイルバッテリー検査場。箱の中には捨てられたバッテリーが積み重なっていた=2025年7月7日、北京市

 「充電宝」の名で親しまれているモバイルバッテリーは、中国では遠出の必需品だ。そんな旅の常識を揺るがしたのが、航空当局、中国民航局が6月26日に出した通知だった。

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受験や結婚といった人生の転機や、経済やライフスタイルの変化を、中国の人びとはワンフレーズの漢字で巧みに表現しています。そんな新語・流行語が映し出す、中国社会のいまを読み解きます。

 「3Cマークがついていない充電宝は国内線への持ち込みを禁ずる」。実施は、わずか2日後の28日からとされていた。

 3Cマークとは、中国独自の規格「中国強制製品認証」を満たす商品につける印を指す。

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急に新ルールが発表され、記者も手持ちのモバイルバッテリーが飛行機に持ち込めなくなったために新品への買い替えを迫られた。「C」を三つ横に並べたマークが、求められている3Cマークだ=2025年7月14日、北京市内、斎藤徳彦撮影

 ところが、充電宝にこのマークが本格的につくようになったのは、昨年8月からの1年足らずだ。多くの消費者が持っている製品には、それ以前からの安全規格を満たしていてもマークはなく、今後は飛行機持ち込みができないことになる。

相次いでいた発火事故、買い替えは1億個に?

 伏線はあった。北京では複数…

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