7月上旬。記者が北京首都空港で搭乗手続きを済ませ、セキュリティーゲートに向かうその手前に、以前は見かけなかった即席の検査場ができあがっていた。
機内持ち込みが禁止され、その箱に捨てられていたのは、水入りペットボトルでもライターでもなく、スマホの充電に使うモバイルバッテリーだ。のぞき込むと、多くの電池が積み重なるように捨てられていた。
「充電宝」の名で親しまれているモバイルバッテリーは、中国では遠出の必需品だ。そんな旅の常識を揺るがしたのが、航空当局、中国民航局が6月26日に出した通知だった。
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受験や結婚といった人生の転機や、経済やライフスタイルの変化を、中国の人びとはワンフレーズの漢字で巧みに表現しています。そんな新語・流行語が映し出す、中国社会のいまを読み解きます。
「3Cマークがついていない充電宝は国内線への持ち込みを禁ずる」。実施は、わずか2日後の28日からとされていた。
3Cマークとは、中国独自の規格「中国強制製品認証」を満たす商品につける印を指す。
ところが、充電宝にこのマークが本格的につくようになったのは、昨年8月からの1年足らずだ。多くの消費者が持っている製品には、それ以前からの安全規格を満たしていてもマークはなく、今後は飛行機持ち込みができないことになる。
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伏線はあった。北京では複数…