みずほリサーチ&テクノロジーズの門間一夫氏=2024年8月8日、東京都千代田区

 金融市場の動揺が続いている。日本銀行が7月末に、賃金と物価の「好循環」が進んだとしてサプライズ的に追加利上げを決定。直後に、米国の景気指標の悪化が伝わり、先行き不安から金融市場では急激な円高株安が進んだ。市場の混乱を受けて、今後の日銀の追加利上げの道筋は変わるのか。元日銀理事で、みずほリサーチ&テクノロジーズ・エグゼクティブエコノミストの門間一夫氏にきいた。

 ――日銀の内田真一副総裁は今月7日の記者会見で、「金融市場が不安定な状況で利上げすることはない」と発言しました。その狙いは何だと思いますか。

 「経済状況が大きく変わったことを伝え、市場の動揺を抑える狙いだ。7月31日の決定会合では、経済物価が見通し通りに進めば、利上げを段階的に進めるとのニュアンスを出していた。しかし、8月2日に発表された米国の雇用統計で失業率が急上昇し、市場で米経済の景気後退リスクが急速に意識された。いったん振り出しに戻ることを示したかったのだろう」

 ――日銀は7月会合で、短期金利の誘導目標を0.15%幅引き上げ、0.25%程度に誘導することを決めました。その理由をどうみましたか。

 「国内の経済指標をしっかり…

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