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中欧スロバキアの醸造所が製造するノンアルコールの黒ビール。欧州ビール醸造所協会が2025年4月9日にブリュッセルで開催したノンアルコールビールに特化したイベントには、欧州各地のノンアルビールが提供された=森岡みづほ撮影

 ビールの本場ベルギーに赴任した1年半前、「欧州で断酒がはやっている」と聞いた。

 ドライ・フェブラリー(Dry February)。毎年2月、1カ月間断酒して、飲酒習慣を見直す取り組みだ。もとは1月に断酒するドライ・ジャニュアリー(Dry January)が英国で始まり、ベルギー、フランス、ドイツ、スイスなど欧州各国で毎年計数百万人が参加しているという。

お酒好きの私からすると……

 私はもともとお酒好き。1カ月も飲まないなんてと言うと、知人は笑った。「おいしいノンアルコール飲料がたくさんあるから全然平気」

 確かに、売り場の約10分の1をノンアル飲料が占めているスーパーもある。大手のハイネケンやバドワイザーのビール系飲料だけでなく、ワインやリキュールテイストも豊富だ。

 ノンアル飲料だけを扱う専門店もある。オランダ・アムステルダムにある「world of NIX」。約100種類が並ぶが、すべて0%のアルコール飲料か0.5%以下のワインなどだ。

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オランダ・アムステルダムにあるノンアルコール飲料の専門店「world of NIX」。店の中では試飲ができる=2025年7月13日、アムステルダム、森岡みづほ撮影

 創業者がこの店を思いついたのは二日酔いの朝だった。体調がすぐれず、日課のランニングをする元気がなかった。「ノンアルなら自分らしく、健康に、効率よく生きられる」。2021年に1号店を開き、今ではアムステルダムを中心に3店舗を展開している。

 店では試飲もできる。どれも世界から集められた逸品だという。まずはノンアル・スパークリングワイン。口の中でぱっと香りがはじけた。お酒好きからしても、おいしい。ノンアルは味がいまいち、というイメージが覆った。

「おいしいのに、次の日に影響しない」

 ノンアルのジンは2回に分け…

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