ビールの本場ベルギーに赴任した1年半前、「欧州で断酒がはやっている」と聞いた。
ドライ・フェブラリー(Dry February)。毎年2月、1カ月間断酒して、飲酒習慣を見直す取り組みだ。もとは1月に断酒するドライ・ジャニュアリー(Dry January)が英国で始まり、ベルギー、フランス、ドイツ、スイスなど欧州各国で毎年計数百万人が参加しているという。
お酒好きの私からすると……
私はもともとお酒好き。1カ月も飲まないなんてと言うと、知人は笑った。「おいしいノンアルコール飲料がたくさんあるから全然平気」
確かに、売り場の約10分の1をノンアル飲料が占めているスーパーもある。大手のハイネケンやバドワイザーのビール系飲料だけでなく、ワインやリキュールテイストも豊富だ。
ノンアル飲料だけを扱う専門店もある。オランダ・アムステルダムにある「world of NIX」。約100種類が並ぶが、すべて0%のアルコール飲料か0.5%以下のワインなどだ。
創業者がこの店を思いついたのは二日酔いの朝だった。体調がすぐれず、日課のランニングをする元気がなかった。「ノンアルなら自分らしく、健康に、効率よく生きられる」。2021年に1号店を開き、今ではアムステルダムを中心に3店舗を展開している。
店では試飲もできる。どれも世界から集められた逸品だという。まずはノンアル・スパークリングワイン。口の中でぱっと香りがはじけた。お酒好きからしても、おいしい。ノンアルは味がいまいち、というイメージが覆った。
「おいしいのに、次の日に影響しない」
ノンアルのジンは2回に分け…