人工知能(AI)について包括的に規制する欧州連合(EU、本部・ブリュッセル)のAI法が21日、成立した。EU域内のルールを世界に広げる「ブリュッセル効果」で、日本企業への影響は少なくないとみられる。では、全面適用となる2026年までに、どのように備えたらよいのか。AI規制などを専門にする杉本武重弁護士に聞いた。
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杉本氏は、「欧州で展開する日本企業のうち、何らかのAIを利用している企業すべてが、程度の差こそあれ対応を迫られることになる」と指摘する。
欧州に支店を置くなどしていれば、日本の本社で使うAIシステムの扱いにも注意が必要になってくる。
企業がまずやるべきこととは?
たとえば、労務管理のため、勤務中の従業員の表情をパソコンの内蔵カメラなどから撮影して心身状態などを推測するAIや、顔認識のデータベースを作るためにネット上から無作為にデータ収集するAIなどは、AI法では「禁止」に該当する恐れもある。
杉本氏は、企業がまずやるべきこととして、以下のような五つの作業を指摘する。
①AI法への対応が必要になるシステムやそれを使ったサービスを洗い出す「AIマッピング」
②その洗い出したAIに対して…