時姫を演じる中村米吉

 今をときめく若手俳優が顔を合わせる「明治座十一月花形歌舞伎」。夜の部では、歌舞伎の姫君役の中でも代表的かつ難役とされる「三姫」の一つ、「鎌倉三代記」の時姫に中村米吉が初めて挑む。

 中村勘九郎、七之助の兄弟が主軸となるこの公演で、時姫を――と聞いた時は「びっくり仰天で、肝が潰れました」。

 三姫のうち「祇園祭礼信仰記」の雪姫を昨年、「本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)」の八重垣姫を今年演じたばかり。女形が襲名などの節目に演じることもある役柄だけに、「今、この三つをやらせて頂けるのは、重いことだと受け止めています」。

「鎌倉三代記」の時姫役を演じる

 北条時政の娘でありながら、敵方の源頼家に仕える三浦之助を慕い、その母を看病する時姫。三浦之助と夫婦になるため、父・時政を討つ決意までする。そのイメージを「非常に情熱的。この場面では、最初から『エンジンを吹かした』状態で出てきて、最後までずっと動き続ける感じ」と語る。

 三姫のうち、これまでに演じ…

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