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万引きを繰り返してしまう女性の公判で、情状証人に立った「ぴあらいふ」代表理事の中岸真実さん(右)。法廷を出たあと、これからの生活の不安を口にする女性の話に耳を傾け励ましていた=2024年5月27日、大阪市北区の大阪地裁前、遠藤真梨撮影
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 中岸宏隆さん(63)が2016年にNPO法人「ぴあらいふ」を創設した数年後のことだった。1人の女性から電話がかかってきた。

 「私は高齢やし、もうきついんですわ」。精神障害のある50代の息子が服役中で、出所した後の受け入れ先を探しているという。

 覚醒剤の使用で服役を繰り返す女性の息子は地元の知人で、女性とも顔見知りだった。

 居場所を提供する支援がないと犯罪を繰り返す障害者の家族はきついし、再犯も防ぎにくい。女性の言葉をきっかけに、当事者たちが抱える現実を強く意識するようになり、NPO法人で運営する障害者グループホームを増やしていった。

 自身も高校時代は荒れていて、暴走族に入っていた。成人して夜の街で働き出し、キャバクラの雇われ店長になった。その後、大阪の歓楽街・北新地でキャバクラやラウンジなど5店を営む実業家になった。急激に事業を拡大したこともあり、大箱のレストランバーの経営に失敗して運営会社が倒産した。

 いくつか仕事に就いたが、打…

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