「おにぎりサミット」で出張販売する「ぼんご」の右近由美子さん(右)。「一つひとつに心を込めて」。受け取った女性は「ふわふわでおいしかった!」=東京都中央区八重洲、外山俊樹撮影

 おにぎりブームが止まらない。専門店が次々と開店し、コンビニおにぎりも好調だ。海外でも店舗の出店が相次いでいる。元々は家庭で作る「内食」だったが、「外食」「中食」として脚光を浴びている。おにぎりブームの現場を取材した。

 2月上旬、東京・八重洲のビルのイベント会場。そこには長蛇の列ができていた。

 列の先には、東京・大塚の人気おにぎり専門店「ぼんご」の女将(おかみ)、右近由美子さん(72)の姿があった。その日開かれた「おにぎりサミット」(一般社団法人おにぎり協会主催)で出張販売を行っていたのだ。

 具材の肉そぼろや卵黄などをごはんに入れ、手早く握っていく。握るといっても3回以内。「ふわふわした食感を大切にしたいから」と右近さん。並ぶ人たちは、右近さんが握る様子をじっと見つめ、中にはスマホで動画を撮る人もいる。

 満面の笑みで右近さんからおにぎりを受け取った脇千紘さん(24)は「ぼんごのおにぎりを食べるのが夢だった。ふわふわでおいしかった」と興奮気味に話した。

 ぼんごは右近さんの亡くなった夫が、1960年に創業。夫の後を継ぎ、72歳になったいまも店に立ち続ける。ぼんごのおにぎりを求めて、数時間待ちの行列ができることも。おにぎり店開店を目指し、教えを請う若者らも後を絶たない。

 右近さんに話を聞いた。

■「母の味を思い出した」と涙…

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