万博会場で大量発生しているユスリカ

 大阪・関西万博を主催する日本国際博覧会協会が、会場で大量発生している蚊に似た羽虫「ユスリカ」への対応に苦慮している。協会は事務方トップが司令塔の「対策本部」も設置したが、現状では大きな効果は見られていない。今後さらに発生のピークを迎えるというユスリカ。その生態と対策について専門家に聞いた。

  • ユスリカの大量発生、万博協会が対策本部「飛来抑えられていない」

 会場内で発生している羽虫は、ユスリカ科の「シオユスリカ」。協会によると、特に夕方から夜にかけて、会場南側の大屋根リングの上や、その付近の水辺エリアなど広い範囲で飛んでいるという。

 蚊のように人を刺すことはなく、感染症を媒介することもないが、来場者から「不快だ」とする声が相次ぎ、協会は石毛博行事務総長をトップとする対策本部を設置。有効な対策を専門業者と検討している。大阪府も包括連携協定を結んでいる「アース製薬」(東京)に協力を依頼するなど、本腰を入れて対策に乗り出している。

 なぜ万博会場で大量発生したのか。

 長くユスリカを研究している環境分析会社「MIZUKEN」(堺市)の山本直さん(47)は「好条件がいくつも重なった」と指摘する。

 山本さんによると、会場南側の大屋根リングの外側にある「つながりの海」(32ヘクタール)と、その内側の「ウォータープラザ」(3ヘクタール)が発生源とみられるという。

ユスリカの発生場所の一つとされる大阪・関西万博のウォータープラザ=2025年4月22日、大阪市此花区、小林一茂撮影

 多くの来場者でにぎわう水上ショーが毎晩開催されるこのエリアには、大阪湾から海水が引かれている。海水と淡水の混じる「汽水域(きすいいき)」で発生するシオユスリカにとって生息に適した環境となり、大量発生につながったとみられる。

検討が進むユスリカ対策。ただ専門家によると「ジレンマ」もあるようです。大量発生を抑えることができるのか。今後のポイントを聞きました。

 「競合」や「天敵」がいない…

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