世界最高峰といわれるフランス競馬のレース「凱旋門賞」で日本人初の勝利を――。国内唯一の馬具メーカー「ソメスサドル」(北海道砂川市)が創業60年に合わせて、レースに使う鞍(くら)の記念モデルをつくった。共同開発者はトップ騎手の武豊さんだ。
武さんはデビュー当初から約30年、ソメスサドル製の馬具を愛用。「記念の年に最高の鞍をつくり、凱旋門賞で使ってもらいたい」という同社の呼びかけに応じ、2年かけて試乗を繰り返してきた。記念モデルは、骨組みに新しい素材を使って軽量化し、耐久性も強めたという。
武さんは21日、本社工場を訪れ、約70人の社員の前で完成した鞍を受け取った。工場訪問は初めて。「こんなに多くの人が携わっているのを見て感動した。凱旋門賞で勝って、この鞍を掲げたい」と勝利を誓った。
凱旋門賞は毎年10月に開かれる国際レース。日本国内で大活躍した競走馬が出場しているが、日本人騎手の最高成績は2位。今年、武さんは自身11度目の出場を予定している。
ソメスサドルは馬具メーカーとして創業。国内競馬用の鞍のシェアは約80%という。トップ騎手に人気で、評判を聞いた海外の騎手が使うことも増えた。
凱旋門賞では過去3回、ソメスサドル製の鞍の優勝馬が出ているが、いずれも外国人騎手。日本人優勝は「悲願」でもある。
染谷昇会長は「鞍は道具の一つにすぎないが、ぜひこの馬具で優勝を飾ってほしい」と期待する。
武さんは、早ければ今週末の札幌競馬場のレースで新しい鞍を使うという。(丸石伸一)