宮下萌弁護士

 今夏の参院選では外国人政策が争点として浮上し、「日本人ファースト」を掲げた参政党が躍進した。日本人優先が声高に叫ばれるとき、差別と排外主義へ向かう危険はないのか。ヘイトスピーチの問題に詳しく、レイシャル・プロファイリング訴訟の原告弁護団の一人でもある宮下萌弁護士に話を聞いた。

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 参院選で躍進した参政党が掲げた「日本人ファースト」が、政治的に焦点化しています。ただ、この言葉の何が問題なのかが整理しきれていない気がします。ヘイトスピーチ解消法でいう「不当な差別的言動」にあたるかといえば、一見すると、そうではないように思えます。

 しかし「日本人ファースト」という言説の問題は、これが一部の人々の感情に訴える「犬笛」となり、SNSのコメント欄などをヘイトスピーチの温床にしていることです。SNSには、「外国人は帰れ」といった典型的なヘイトスピーチが蔓延(まんえん)しています。

良識や常識が通用する言論空間を作るために

 「外国人が増えて、日本では…

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