韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が23日、今年6月の就任後初めて来日し、石破茂首相と会談した。日韓関係の現状や今後の見通しについて、2人の専門家に聞いた。
静岡県立大の奥薗秀樹教授(現代韓国政治外交)
韓国の共に民主党は民主化運動の伝統をくむ政党だが、李在明大統領は超傍流だ。明確なイデオロギーに基づいた歴史観を持つ進歩(革新)系大統領の盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏、文在寅(ムン・ジェイン)氏の延長線上にはない。李氏は国益重視の実用外交を掲げ、敵対勢力を全否定せず、日米韓協力など尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領のレガシーも利用すべきものは引き継ぐ。
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文政権時との決定的な違いは、安全保障環境の激変だ。北朝鮮はロシアと締結した「包括的戦略パートナーシップ条約」に基づき、ロシアのウクライナ侵攻に派兵した。事実上の軍事同盟だ。韓国の進歩勢力は対米自主を掲げ、日本に対しても歴史問題に厳しい姿勢で臨んできたが、李氏は日米韓の連携は韓国の国益にとって重要で、日韓の歴史問題でそれが揺らぐのは得策ではないと判断している。
だが一方で、統一地方選を来年に控えるなか、党内を一枚岩にするため文氏に近い旧主流派への配慮もせざるを得ない。支持率の低下を招いてでも文氏の懐刀ともいわれる曺国(チョ・グク)元法相の特赦(恩赦)を実施したのもその表れだろう。歴史問題で日本が旧主流派を刺激するような言動をとることは避けるべきだ。
「石破首相は韓国でも好感度が高い」
内政で苦境に陥れば、歴史問…