今年の春闘について話す立教大の首藤若菜教授=2024年6月27日、東京都豊島区、北川慧一撮影
  • 写真・図版

 労働組合が会社と賃上げ交渉をする今年の「春季闘争」(春闘)で、組合の中央組織・連合は3日、定期昇給を含む正社員の賃上げ率が平均5.10%になったという最終集計を発表しました。1991年以来、33年ぶりに5%を超えましたが、日々の暮らしでは「歴史的な結果」を実感できない人も多いはずです。なぜでしょうか。立教大の首藤若菜教授(労働経済学)に聞きました。

  • 春闘の賃上げ率、33年ぶり5%台 実質賃金のプラス転換が焦点

 ――今年の春闘をどう評価しますか。

 昨年の春闘(3.58%)も過去と比べれば大幅な賃上げでしたが、大企業の業績はそれ以上に好調で、企業が人件費にどれだけ回しているかを示す「労働分配率」は過去最低の水準まで下がりました。結果論ですが、公正な分配によって適正な人件費が支払われたとは言えません。

 それを踏まえると、今年の春闘で高水準の賃上げができるのは当然とも言えます。もちろん労働組合が一定の役割を果たしたし、賃上げの機運が高まったのは事実ですが、春闘の本来の機能は揺らいだままです。

「かつては国民みんなの関心事」

 ――春闘の機能とは何でしょ…

共有
Exit mobile version