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JR久里浜駅前で「草刈り」をするトカラヤギのメイ太。空き地に生い茂る雑草を食べていた=2025年3月20日午前10時20分、神奈川県横須賀市久里浜1丁目、加藤美帆撮影

 神奈川県横須賀市の池田陽子さん(51)の人生の転機は5年前、突然訪れた。

 当時はパートで給与計算をする仕事をしていて、決められた業務を淡々と繰り返す日々。「人生このまま終わっていいのか」と思い悩んでいた。

 そんなある日、自宅でヨガをしながらYouTubeを見ていると起業に関する動画が流れてきた。「主婦でも起業できるのか」。ちょうど読んでいた本の「死ぬまでにやらないと後悔することは?」という記述を見て思い立った。ヤギを飼いたい――。

 ヤギのことが浮かんだのは、小中学生時代の経験があったからだ。

 池田さんは千葉県流山市出身。学校が嫌いで、通学路そばの幼稚園で飼育していたヤギに会うのが唯一の楽しみだった。

 雑草だけでなく、当時は良くないことだと知らず、学校のプリントやテストまで食べさせていた。「すべてを受け入れ、嫌なことを消してくれるように感じ、励まされた」という。

 「将来は動物に囲まれて暮らしたい」と夢を描いたが、年齢を重ねるうちに、そんな夢は忘れていた。

 大学を卒業してレコード会社などに勤めた後、主婦になり、16年前に横須賀へと移住してきた。

 そんなときに思い出したのが、ヤギを飼いたいという幼い頃の夢だった。

資格をとって、牧場で勉強

 一度きりの人生だ。自分にし…

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