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府中刑務所で働く女性刑務官。今は夜勤がメインで、夜中は60人ほどの居室の巡回を1人で担う。受刑者とのやりとりは、扉は解錠せずに窓越しに行う=2025年1月10日、東京都府中市、黒田早織撮影
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 「仕事にやりがいは正直、ないです」

 府中刑務所(東京都府中市)の男性刑務官(43)はこう言い切った。「警察はいいですよね、逮捕したら社会に注目される。その後の長い年月、面倒を見るのは私たちなのに」

取材の経緯

 昨秋、一般市民と府中刑務所職員の交流イベントを取材した際、ある刑務官が「仕事にやりがいはない。社会に現状を知ってほしい」と語りました。
 主催する法務省職員らもいる公の場での発言。刑務官の苦悩はそれほどなのかと衝撃を受けました。
 詳しい話を聞きたいと思い、後日、同刑務所に正式に個別取材を申し込みました。

 約1700人が収容される日本最大規模の同刑務所。受刑者約40人の担当として、工場で刑務作業を監督する。受刑者の間を巡回して一人一人に注意を払い、合間に個別の面談や事務作業、トラブルにも対応する。

無力感を抱く「再会」

 勤続20年。時には、本気で諭した言葉が受刑者に届いたと思えることもないわけではない。だが、やりがいとして感じることはほとんどないという。

 同刑務所は「犯罪傾向が進ん…

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