ロンドンで2025年6月20日、議員らが終末期の患者の幇助による自死を認める法案の採決を控えるなか、法案の支持者は横断幕を掲げた=ロイター

 英国で、終末期の成人の「死を選ぶ権利」が認められる見通しになった。議会下院で20日、法案の採決があり、賛成314、反対291で通過した。上院で覆される可能性は低く、2029年までに、合法的に自ら命を絶つことができるようになる。

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 正式名称は「終末期の成人(終生)法案」。権利が認められるのは、正常な判断能力を有する▽イングランドかウェールズに1年以上暮らす▽18歳以上である▽治療不可能な症状がある▽余命半年未満と見込まれる――といった条件に全て当てはまる場合に限られる。

 今回の法案が想定しているのは、患者本人の意思に沿い、致死薬も自ら服用してもらう方法。延命治療をやめたり、医師が致死薬を投与したりする「安楽死」とは異なり、日本では「自殺幇助(ほうじょ)」に該当する。

 希望者は2回の「宣告」を行い、それぞれ2人の医師が「適格」と判断する必要がある。適格と判断されても、本人の意思で取り消すことができ、最終的に致死薬を自ら服用する際にも、医師の付き添いが求められる。手続きに不正があった場合、最高で終身刑となる罰則規定もある。

 法案は今後、上院で議論され…

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