記者会見で「日本の死刑制度について考える懇話会」の報告書の内容を説明する井田良(まこと)・中央大大学院教授(右から2人目)ら=2024年11月13日午後4時7分、東京都千代田区、久保田一道撮影

 与野党の国会議員や犯罪被害者遺族、元検事総長らが参加した「日本の死刑制度について考える懇話会」(座長=井田良・中央大大学院教授)が13日、政府への提言を報告書にまとめた。現在の制度には放置が許されない多くの問題があり、「現状のままに存続させてはならない」との認識を示した。そのうえで国会や政府のもとに、制度の廃止を含む「根本的な検討」のための会議体を設けるよう求めた。

「存置派と廃止派、歩み寄り試みた」

 結論を出すまで、死刑執行の停止も検討すべきだとも提起した。近く政府に提出する。13日に記者会見した井田座長は「これまでの死刑を巡る議論は、存置派と廃止派が意見をぶつけ合っていた。今回は、どれだけ歩み寄れるかということを試みた」と総括した。

 懇話会は、日本弁護士連合会の呼びかけで今年2月に設立された。確定死刑囚の再審無罪を含め冤罪(えんざい)事件が絶えないなか、日弁連は2016年に初めて「廃止」を掲げる宣言を採択。宣言では終身刑の導入検討も求めたが、政府内で議論が深まらないことを踏まえ、さらに幅広い立場からの提言をめざした。

■世界の潮流踏まえ「国益損ね…

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